ゴミから生まれる未来のデザイン:Interior Lifestyle Tokyo 2025

2025年6月18日から20日まで東京ビッグサイトで開催された「Interior Lifestyle Tokyo 2025」。会場で注目を集めたのが、JAMES BURY DESIGN OFFICEのブースでした。新たなプロダクトシリーズ「Extrud.」には、弊社のリサイクルタイル事業「ecorevo」の素材が採用されています。

都市ゴミから生まれたリサイクル素材が、ジェームス氏のデザインによってどのように生まれ変わり、来場者を魅了したのか。そのクリエイションの裏側を、ジェームス薫ビューリー氏へのインタビューを通じて深掘りしていきます。

「ecorevo」の魅力:都市ゴミが織りなす新たな美しさ

都市ゴミが資源へ。循環の始点に立つ「ecorevo」

最初にecorevoを知ったとき「都市ゴミをリサイクルしてタイルを製造する」という活動と「リサイクルタイルを通して、循環型社会を目指す」というコンセプトに共感し、この活動とそこで生まれるリサイクル素材を「世界に広めていきたい」という想いが湧き上がってきたことを覚えています。

ゴミと聞くと、どうしても「汚い」というイメージが先行しがちです。でも、はじめて溶融スラグを目にしたとき、その印象はガラリと変わりました。 まるで黒曜石のようで、ゴミからできているとは思えないほどに美しいんです。この素材が「タイル」というカタチで活用され、多様な成形が可能であることに、大きな可能性を感じました。

ビューリー 薫 ジェームス


TOTO株式会社、プロダクトデザインスタジオ Hers Design Inc.で住宅設備、家電製品、生活雑貨などのデザイン経験を経て、2020年に独立。
2023年に株式会社 JAMES BURY DESIGN STUDIO を設立。「洗練されたストレスフリーな生活文化」をテーマに、プロダクト、デザイン戦略、CGI等の幅広い分野のデザインを手掛ける。
多摩美術大学・武蔵野美術大学 非常勤講師
Web:James Kaoru Bury
Instagram:@jameskaorubury

ジェームス薫ビューリーの写真

空間演出へのこだわり

今回のブースは「Extrud.シリーズ」を、実際の住空間で使用したイメージが湧きやすいように意識しました。

観葉植物を置いたり、通常であればロゴをカッティングシートで壁に貼るところを、ロゴやグラフィックを印刷して額縁に入れ、アートのように展示するなど。また、来場者の方が心地よく感じられるように、ブース内で音楽を流すなどして、過ごしやすい空間演出を心がけました。

ゴミから生まれる、新たな可能性

リサイクルの持つ可能性について改めて考えていただきたいと思いました。リサイクルと一口に言っても、鉄やガラスのように比較的受け入れやすい素材もあれば、都市ゴミのように強い抵抗感を抱かれる素材もあります。

とくに、生ゴミなどを含む都市ゴミは、「見たくない」「触りたくない」と感じる方も多いと思います。だからこそ、そういった「厄介な素材」が無害化され、美しい溶融スラグへと生まれ変わるプロセスを知っていただくことは非常に重要だと感じました。

それによって、リサイクルの可能性はまだまだ広がること、そしてそれが日常生活に自然に取り入れられるクオリティに達していることを実感してもらえたらと思います。

  • ブースに展示された溶融スラグ(写真中央)

リサイクル素材の新たな価値観

リサイクル素材を扱う上で意識したのは、素材そのものが持つ表面の質感や個性をなるべく「そのまま魅せる」ことです。

たとえば、釉薬をかければ鮮やかで美しい色のタイルに仕上げることもできますが、そうしてしまうと見た目は既存のタイルと大きな違いがなくなってしまいます。それでは、リサイクル素材ならではの魅力や背景が伝わりにくくなると感じました。

あえて「飾りすぎない」仕上げとすることで、素材の本質的な美しさやストーリーが伝わるように工夫しました。
とくに、生ゴミなどは「見たくない」「触りたくない」と感じる方も多いと思います。だからこそ、そういった「厄介な素材」が無害化され、美しい溶融スラグへと生まれ変わるプロセスを知っていただくことは非常に重要だと感じました。

タイルが持つ可能性と循環型社会への貢献

空間を彩るタイルの力と可能性

私は5年間、TOTOでプロダクトデザイナーとして働いていました。そこで、徐々にタイルへ興味を持つようになったんです。他のプロダクトと比べて、住宅設備は少し特殊で、社内で製品の形状だけを見せても、まず承認は下りません。どんな壁や床、カウンター、洗面器や水栓の組み合わせなど、空間全体のイメージとしてプレゼンテーションする必要がありました。

その中で気が付いたのが、壁などに使うタイルが、製品や空間全体の印象に大きく影響するということ。壁紙などの他のインテリア素材も素晴らしいのですが、タイルの持つ重厚感や、空間に入ったときの清らかさは、他ではなかなか表現できないものだと思っています。他の素材では再現できない、タイルならではの質感こそが、私が追及したい可能性だと感じています。

循環型社会に向けた「デザイン」と「ものづくり」の在り方

「サステナブル」という言葉は、今や当たり前になってきています。その中でも様々な種類のサステナブルが存在すると考えています。 もちろん、サステナブルな製品を製造することは大切なことですが、事業としての持続性(サステナビリティ)が重要だと考えています。せっかく環境にやさしい製品を製造・販売しても、利益を生まなければ、事業として成り立たず、最終的には販売中止になってしまう現実があります。

良い製品は、市場に残りつづけ、常にお客様の選択肢にあるのが理想です。そして、さまざまな物件にサステナブル製品が導入されていってほしい。そのためには、適切なコスト設定、プロモーション方法が大切です。「サステナブル」というワードは、非常に複雑で、チャレンジングであると同時に、楽しい取り組みだと考えています。

  • Extrud. LAMP

今後の挑戦と「ecorevo」への期待

ecorevoは本当に素晴らしい取り組みだと思っています。ただ、現時点では製品ラインアップがまだ限られている印象もあり、今後の展開にとても期待しています。 たとえば、人気のあるボーダータイルや、今回のExtrud.シリーズで新たに開発したグレー系のタイルなど、さまざまな建築空間に自然に溶け込むようなプロダクトが増えていくことで、ecorevoの可能性がさらに広がっていくのではないかと思っています。

Extrud.シリーズでは、タイルの枠を超えて、テーブル、照明、フラワーベース等のデザインをしてましたが、やはり私はバスルーム周りのデザインが大好きで…
タイルというマテリアルで浴槽・洗面器、またバスルームのタイルのデザインなどもやりたいと思っています。

まとめ

今回のインテリアライフスタイル2025での展示は、リサイクル素材が持つ可能性と、それがデザインの力によって新たな価値を生み出すことを強く印象づけるものとなりました。都市ゴミから生まれた「溶融スラグ」は、今後も様々なデザイナーとのコラボレーションを通じて、私たちの生活空間を豊かに彩り、持続可能な社会の実現に貢献していくことでしょう。 ecorevo・リサイクル素材にご興味をお持ちのデザイナー様、建築関係者の皆様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ecorevoでは、無償でサンプルをお送りしております。ぜひ一度お手に取って、リサイクルタイルの質感や色合いをお確かめください。サンプルをご希望の方は、コンタクトフォームよりお問い合わせください。
※一部の製品については、色見本のみ無償とさせていただいております。あらかじめご了承ください。

Contact Us