【開発の裏側】色彩と質感のカギとなる調合・原料攪拌プロセス

リサイクルタイルの施工を検討する際に「個性や風合いを出したい」、あるいは「色ムラは出るものだが、その表情をコントロールしたい」と考えたことはありませんか?

多様な廃材を原料とするリサイクルタイルは、従来のタイルに比べて均一性や再現性が低くなります。しかし、私たちはこれを建材に唯一無二の表情を与える「強み」として捉えています

今回は、リサイクル原料の「ムラや個性を最大限に引き出す」ために、ecorevoが徹底している「調合」と「原料の攪拌(かくはん)」の重要性と、そこから生まれる成形用原料タイプについてご紹介します。

リサイクル原料の個性:なぜ「調合」が表現の鍵に?

リサイクル原料の採用において「タイルのテクスチャ」を左右するプロセスが「調合」です。

私たちが扱う無機物系廃棄物は、比重・吸水率・化学組成が大きく異なります

廃棄物由来のリサイクル原料と、粘土などの原料の配合バランスが崩れると、リサイクルタイルの寸法と色のムラが「個性」の範疇を超えて、以下のような「大きな製造上の欠陥」につながります。

  • ・乾燥割れや焼成割れ:原料の配合バランスが崩れると、焼成時にタイルが破損し、製品として成立しません

  • ・大きな寸法誤差:タイルごとのサイズや厚みが大きく異なり、施工が不可能になります

  • ・意図しない質感と色ムラ:製品基準を満たさない大きなムラとなり、不良品扱いとなります

調合したのち、原料を均一に混ぜ合わせることは、リサイクル原料をある程度コントロールし、建材として成立させるための基本的なステップなのです。

★ 重視するポイント

廃材の持つ特性を活かしつつ製品化するため、以下に注力しています。

  • 1.乾式攪拌:水分を加える前に、まず乾燥した粉の段階で攪拌することで、粉体同士が完全に混ざり、タイル製造工程の練り込みや加水時のムラを防ぎます

  • 2.比重差の管理:原料の比重差やその他特性などに応じた「攪拌時間」「回転数」を調整し、配合条件をデータ化しています

  • 3.水分管理:練り土にする際、原料に水分が均一に行き渡るよう攪拌し、大きなひずみや割れにつながるリスクを抑制します

  • 「インテンシブミキサー」で攪拌

  • 攪拌の様子

リサイクル原料開発における試験データの再現性は、攪拌がどれほど均一にできているかが重要となります。この工程の管理こそが、リサイクル原料によるデザインの可能性を広げます。

デザイン意図で使い分ける:2つの原料タイプ

攪拌された原料は、お客様が目指す最終的なテクスチャや成形法に応じて、「湿式用原料」または「乾式用原料」のどちらかの形に整えられます。

湿式用原料(押出成形向け) 乾式用原料(プレス成形向け)
状態 水分を含む半固体状の練り土(高可塑性) サラサラした顆粒状粉体(粒度が均一)
成形方法 押出成形・手成形 プレス機成形
デザイン 立体的な成形品、レンガ、厚物
※変形に強く、廃材のテクスチャを活かしやすい
薄物、量産品
※寸法のムラ抑え、施工性を確保

製品の完成像(色ムラや表情など)に応じて、適切な原料粒度を選択することが重要です。

ecorevoでは、無機物系廃棄物を、精密な攪拌により、原料として使用できる範囲内で均一化し、お客様の要望と成形方法に応じて「湿式用原料」「乾式用原料」のどちらにも対応できる体制を整えています。 この、リサイクル原料の不安定さを「強みに変える」ためのデータ蓄積こそが、リサイクル原料の可能性をデザイン領域へと押し広げています。

リサイクル原料の「個性」をデザイン素材へ

今回ご紹介した工程は、廃材・リサイクル原料の特性を活かし、魅力的な個性を持ったタイルへと昇華させるために不可欠です。その技術が結実した代表的な製品をご覧ください。

  • モルテノヴァ

    釉薬の原料に「溶融スラグ」を使用したタイル。リサイクル原料を使用しているからこそ実現できる豊かなグラデーションや質感は、多様なシチュエーションで、デザインの選択肢を広げます。

  • 暁(あかつき)

    100%リサイクル原料を使用して生産。スラグ特有の霞がかったような風合いが、還元焼成の味わい深い色味と相まって、素材の奥行きを感じさせます。

弊社の製品ラインナップをご覧いただくことで、「これらのタイルでこんな空間演出ができるかも!」というインスピレーションとなれば幸いです。

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お客様の「ムラや風合いを活かしたこんなタイルを作りたい」という具体的なご要望や、お持ちの産業廃棄物の活用についてのご相談も随時承っております。

リサイクル素材の可能性について、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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