Uoolを焼成する電気窯(ローラーハースキルン)
タイルの製造には、多くのエネルギーが必要です。窯を高温まで上げ、その温度を長時間維持しなければならないためです。 もしこの温度を下げることができれば、製造時の環境負荷は大きく減らせます。
ただし、単純に下げれば品質が落ちてしまう。環境負荷と品質。この二つは、長く両立しないものとされてきました。
ecorevoが開発した低温焼成タイル「Uool(ウール)」は、950℃で焼成。一般的な温度より300℃低く、製造時にかかるエネルギーを抑えています。 なぜ、それが可能なのか。今回はその理由をご紹介します。
猛暑日が長期間続くことも珍しくなくなり、異常気象は常態化しつつある身近な問題となりました。 地球温暖化の進行を抑えるため、世界各地で温室効果ガスの排出量を削減する取り組みが進められています。
再生可能エネルギーや省エネ家電が注目される一方で、さまざまな製品を生み出す製造業にも、大切な役割があります。 タイルをはじめとするセラミックス製品は、高温で焼成することによって強度や耐久性を得ます。一般的なタイルは1200〜1250℃で、24時間ほど焼成しなければなりません。
焼成時に使用するエネルギーの多くは、ガスを燃やすことで得られています。燃焼をともなう以上、CO₂の発生は避けられません。
原料の粘土は、そのままでは粒子と粒子の間に無数の隙間があり、ここに熱を加えると、原料に含まれる成分の一部が熔けてガラス質になります。このガラス質が隙間に流れ込み、冷えて固まることで、素地は緻密な塊になります。隙間が埋まるほど、水は入り込めなくなります。つまり吸水率が下がり、同時に強度も上がります。
一般的なタイル製造では、「熔けてガラス質になる成分」を長石という鉱物が担ってきました。 融剤としての役割を持つ長石が十分に熔けるためには、1200℃を超える温度が必要です。
つまり、温度を下げると素地が焼き締まらず、強度が下がってしまいます。 タイルが高温焼成で作られ続けてきたのには、こうした理由があります。
温度を下げながら、製品に必要な強度、耐久性、吸水性能、美観を確保する。 そのためには、原料の配合や成形方法、焼成時間などを細かく検証する必要がありました。
ecorevoでは、テストピースによる試験を繰り返しながら、品質と環境性能を両立できる条件を模索してきました。
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たどり着いた答えは、原料そのものにありました。Uoolの原料には、廃棄された「グラスウール」を配合しています。 グラスウールは、冷蔵庫やエアコンなどの家電製品に使われている断熱材です。その製造過程で発生する端材と、粘土鉱山から出る廃棄物を組み合わせることで、リサイクル率最大98%のタイルを開発しました。
そして、この原料こそが低温焼成の鍵でした。グラスウールは、その名のとおりガラスです。 一般的なタイルでは、長石が十分に熔ける1200℃以上の温度が欠かせません。
一方Uoolには、原料の段階ですでにガラスが含まれています。石を熔かしてガラスをつくる必要がないため、950℃という低い温度でも素地の隙間が埋まり、しっかりと焼き締まります。
約6時間で焼成することができるため、従来のガス窯で1250℃焼成した場合と比べ、エネルギー使用量は60%、CO₂排出量は55%削減されています。(※当社試算)
Uoolは、無釉5色・施釉5色の全10色展開です。 無釉タイルは、素地そのものの色と質感が表面に現れます。骨材の粒子が見える、ざらりとしたマットな質感です。 施釉タイルの表面には、細かなひび模様(貫入)が浮かびます。
環境性能を優先した結果、色や質感の選択肢が狭くなる。そうならないために、開発の段階からプロダクトデザイナーのビューリー薫ジェームス氏に加わっていただき、色数や表面の質感、サイズの検討を重ねてきました。
低温焼成は、単に焼成温度を下げる技術ではありません。 製品としての品質を維持しながら、使用するエネルギーとCO₂排出量を削減する、環境配慮型のものづくりです。
ひとつの製品が減らせるCO₂は、地球規模で見れば小さな数字かもしれません。 それでも、建材は建物とともに何十年も残ります。ものづくりの現場から環境への配慮を積み重ねることが、未来につながる大切な一歩になると考えています。
Uoolの表情は、画面越しには伝わりにくい部分があります。 施釉タイルに現れる貫入。無釉タイルのざらりとした素地。一枚ごとの表情の違いなど… こうした要素は、壁面に張ったときの陰影を大きく左右します。
サンプルをご用意しておりますので、よろしければお手元でご覧ください。 仕様のご相談や施工方法についてなど、ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。