アップサイクルとは?|廃棄物がタイルになるまで

溶融スラグとリサイクルタイル

廃棄物や不要になった素材に新しい価値を与えて生まれ変わらせる「アップサイクル」。近年、この考え方が注目されています。

製品をつくる過程で発生する、端材や使用済み原料など。これまで「廃棄物」として処理されてきたこれらの中には、別の製品をつくる資源として活用できる可能性を持ったものがあります。

ただし、廃棄物を原料にすることには、天然の原料にはない難しさもあります。今回は、工業廃棄物をタイルの原料として活用する取り組みと、そこにある課題についてご紹介します。

リサイクルとアップサイクルの違い

一般的なリサイクルは、使用済みの製品や廃棄物を回収・処理して、再び原料に戻して利用する取り組みです。一方アップサイクルは廃棄物や不要になった素材に新しいアイデアやデザインを加えることで、元の状態よりも高い価値を与えて生まれ変わらせるという考え方を指します。

  • ecorevoが目指す循環のサイクル

    ecorevoが目指す循環のサイクル

工場から出た廃ガラスや廃材を、ただ処理するのではなく、意匠性や機能性を備えたタイルという製品にする。これもアップサイクルのひとつと言えます。

「廃棄する」という選択肢だけではなく、この素材の特性を活かして新しい価値を生み出せないだろうか。そう考えることから、新しい資源循環が始まります

タイルの原料になり得るもの

工場などから発生する廃棄物には、さまざまな種類があります。ecorevoが原料としての可能性を検討してきたものには、建設廃材、セラミック廃材、ガラス系廃棄物、鋳込み砂、焼却灰などがあります。

いずれも無機物系の素材です有機物は焼成の過程で燃え尽きてしまうため、タイルの素地としては残りません。窯を通すというタイルの製造方法そのものが、使える素材の範囲を決めています。

たとえば、工場などから発生するガラス系廃棄物。そのままでは廃棄物ですが、適切に処理・調整することで、リサイクル原料としてタイルに活用できる可能性があります。ガラスは焼成時に溶融する性質を持っているため、タイルの原料として使うと、焼き上がりの性質や表情にも影響を与えます。

  • リサイクルタイルの原料となった廃ガラス

    リサイクルタイルの原料となった廃ガラス

  • ガラス廃材を原料としたリサイクルタイル

    廃ガラスを原料としたリサイクルタイル

廃ガラスというひとつの「素材」が、意匠性のあるタイルに生まれ変わることで、新たな役割と価値を持つことになります。

また、工場から発生する焼却灰や、ご家庭から出る生活ごみも、処理方法によっては溶融スラグという無機材料になります。ecorevoでは、こうした再生資源についても、タイル原料として使用できる可能性を検討しています。家庭や工場から出た廃棄物が再資源化され、タイル原料を経てリサイクルタイルになる。この流れが成り立てば、新しい資源循環につながります

※ごみの処理と資源化については、こちらの記事でもご紹介しています。

廃棄物を原料として使う難しさ

ここまで、原料になり得る素材をご紹介してきました。ただ、廃棄物を原料にすることには、天然の原料にはない難しさがあります。

廃棄物は、もともと捨てられるものです。回収されるタイミングや元になった製品によって、成分が完全に揃うことはありません。同じ工場から出た同じ種類の廃材であっても、時期が違えば多少の揺れがあります。天然の原料であれば産地や採掘層によってある程度の均質さが見込めますが、廃棄物にはそれがありません。

そのため、一度テストして使えると分かれば終わり、というわけにはいきません。原料が入るたびに、成形と焼成を確認する必要があります。テストピースをつくり、収縮、変色、強度を見る。この繰り返しによって、製品として使えるかどうかを判断しています。

  • テストピースによる成形試験の様子

ecorevoのリサイクルタイルには、製品仕様に「色幅があります」という注記があります。これは、原料に由来するものです。顔料で色をつけるのではなく、再生原料そのものの成分が焼き上がりの色を決めているため、一枚ごとに表情が異なります

均一な仕上がりが求められる場面では扱いにくさになるかもしれませんが、壁面に張り重ねたときには、単色のタイルにはない奥行きが生まれます。この色幅は、再生原料を使っていることのあらわれです

  • テストピースによる焼成試験の様子

量産する場合には、こうした原料の差に加えて、回収や処理にかかるコストの問題もあります。どんな廃棄物でも気軽に使える、という状況ではありません。ecorevoは、企業から出る廃棄物を何でも受け入れる処理業者ではなく、作り手として、安全に使用できるか、タイルの原料として適しているか、製品として必要な品質を確保できるかという視点から、活用できる素材を探しています。

まとめ

廃棄物のアップサイクルは、単に「ゴミを再利用する」という取り組みではありません。廃棄されていた素材の性質を見つめ直し、新たな価値を持った製品をつくるための資源として活用する取り組みです。

工場から出る廃材を見て「ゴミだから処分するもの」と考えるのではなく「この素材には、まだ使える性質が残っていないだろうか」と考えてみる。それが、アップサイクルの第一歩なのかもしれません。

ゴミだから、成分は揃いづらいし、手間もかかる。それでも、「捨てるしかない」と思われていたものが、タイルとして再び街や暮らしの中で使われる。そんな資源の循環をつくることが、ecorevoの目指すものづくりです。

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