
長く使い続けられる製品や素材は「サスティナブル」であると言われます。しかし、環境への影響は、それだけでは語り尽くせません。使い続けている間、あるいは使い終えて手放すときにどのような影響があるのかを考えることも大切な視点です。
今回は、耐久性だけでは見えてこない「循環」という視点からサスティナビリティを考えます。
建材を選ぶとき、多くの場合、まず目が向くのは性能です。強度、軽さ、耐候性、意匠性。長く使い続けられる建材は、結果として建物のライフサイクル全体のコストや手間を抑えることにもつながるため、設計の段階から重視される要素のひとつです。
タイルはその代表格といえる建材で、百年以上前に施工された建築が今も現役で使われている例は珍しくありません。
一方で、優れた性能を持つ素材が、必ずしも扱いやすいとは限りません。近年注目されているPFAS(有機フッ素化合物)は、水や油をはじき、熱にも強く、長期間にわたって性能を維持する化学物質です。撥水加工をはじめさまざまな工業製品に広く使われてきましたが、 その分解されにくさから、廃棄や処理の難しさが課題として指摘されるようになっています。
性能の高さと、役目を終えたあとの扱いやすさは、必ずしも一致しません。製品を選定するうえでは、性能だけでなく、廃棄の際にその素材がどう扱われるのかという視点も、無視できない要素になりつつあります。
そうした視点から生まれたのが、リサイクルタイル「暁(あかつき)」です。暁の原料には、都市ごみを高温で溶融した際に生じる「溶融スラグ」を使用しています。
これまで溶融スラグは、道路の路盤材やアスファルト混合物の骨材、コンクリート二次製品の骨材など、主に土木分野で活用されてきました。人の目に触れない場所で使われることが多く、どのような色をしているかが問われることはほとんどありませんでした。
暁は、このスラグをタイルの原料として活かした製品です。リサイクル率は最大100パーセントで、再生原料だけで製造されています。一般的なタイルより低い温度での焼成が可能で、製造工程における負荷を抑えられる点も特徴です。
意匠面の特徴は、顔料を一切使用していないこと。スラグ特有の霞がかったような色味と、還元焼成によって生まれる奥行きのある色合いは、原料の選定と調合バランスのみで作り出されています。
一枚ごとに表情が異なり、光の当たり方によっても陰影の出方が変わるため、壁面に張り重ねたときに単色のタイルにはない奥行きが生まれます。区分はAⅡ類(せっ器質)の無釉タイルで、90mm角を基本としながら、スダレ貼りやレンガ貼り用の裏ネット貼り仕様も用意しており、目地の通し方によっても表情の見え方を変えられます。
耐久性は、建材を選ぶうえで欠かせない指標のひとつです。ただ、役目を終えたあとにどう扱われるかまで見据えることも、これからの製品選定には求められていくはずです。
暁は、都市から出た廃棄物を原料に、独自の意匠性と高いリサイクル率を両立させたタイルです。性能と資源循環、その両方を兼ね備えた選択肢として、設計の検討材料にしていただければと思います。